再びウィルソン氏の主張に関して

ウィルソン氏に異を唱える


最近は、ウィルソン氏の本をずっと読んでいますが、結局はウィルソン氏の結論は「佐野乾山」に関しては、真作説、贋作説で議論があったが、

しかし、出川直樹の「いまだに謎をはらむ『佐野乾山事件』」でも語られるように、多くの贋作との意見をもった人びとが、今も堂々とみずからの思うところを主張するのに反し、真作説に走った側は、しだいに口を閉ざして弱腰になり、結局、世間一般は贋物事件としての一件落着を憶測するようになるのである。

ということが理由で贋作だと言っているように思えます。これに関しては、下の方にある「国会での言論統制に関して」で反論を書いたのでそちらをご覧ください。

もう一つは、真作派のバーナード・リーチ氏に関して、

当時のリーチは、75歳の高齢で、ほとんど白内障から視力も衰え、興奮することによって精神の安定を欠いていたとジャネット氏は回顧する。

の記述から、氏は当時眼が悪かったので「佐野乾山」を真作と間違って判断したと言いたいようです。しかし、これは、http://homepage2.nifty.com/hokusai/sano/Ogatakenzan_zensakuhin.htm にも書きましたが、来日当時、同行していた渡辺達也氏の証言からそんなことはなかったことが分かります。
また、昨年末に行われた「森川如春庵の世界」をご覧になった方はご存じだと思いますが、リーチ氏の「森川如春庵画像」(1964年)が展示されていました。
つまりこれによって、その当時(佐野乾山事件が盛り上がってから2年後)でも肖像画を描けるくらい眼が見えていた証拠になると思います。

最近、ウィルソン氏の「The Potter’s Brush」という本も購入し
ましたが(どうでもいいけど氏の本は高過ぎる!)、この本でもSano Kenzanに関して同様の事を書いています。最近はリーチ氏の本を読む人も少ないでしょうから、英語圏ではウィルソン氏の主張だけが届いているように思えます。これが日本にとって良いことなのかどうかは、あの世に居られる乾山ご本人に判断頂きたい所です。


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