●経緯


7)Y田学芸部長からの電話

●11月13日10時半、東京の落合事務所に大和文華館のY田学芸部長から電話がかかってきました

青字は落合氏のコメント

*Y田氏は読売新聞にコメントした事を認めました。実物も見ないで贋作と断定した訳ですから大した自信です。
*Y田学芸部長は、頭から展示品を台湾製と考えています。それも自分で確認した訳ではなく業者がそう言うから信じきっているようです。
*しかも落合氏が何も知らずに今回の展示品を出品したと考えているようです。鉄砂の虎や法花の壺は、Y田氏に教わるまでもなく陶磁器の本を読めば出ている訳ですから陶磁器を好きな人なら誰でも知っています(素人の私でも知っている)。
ですから、安宅コレクションにある事を知っていてあえて今回出品したと考えるべきなのに、Y田氏は落合氏が何も知らないで騙されたと信じているようです。→(これは自分達しか知らないはずだという思い込みがある)
*Y田氏のコメントで
1)今さら新しい発見があるわけがない。
2)そんな名品があるなら、すでにわれわれの眼に入っている筈なんです。
3)ところが仲間は誰も見たことがない。
4)だからおたくのものはおかしいんです。

は秀逸です。素晴らしい論理です。(笑)

Y田学芸部長

落合氏

わたしは、大和文華館の学芸部長のY田といいます。おたくから、読売新聞の取材について問い合わせがあったから−−−。
落合氏はゆっくりY田氏の話を聞いた。要するに展示品はすべて台湾製だというのである。
実物は見られましたか?
見ないでも図録だけで判りますよ。
ほんとに台湾でこんなものを作ってるんですか?
落合氏は考えて、しばらく低姿勢に出ることにした。
あなたは台湾に行ったことがないんですか!
いや、わたしは台湾には今までに11回ほど行っておりますが、このようなものは、どこでも見た事がないんです。
皆さんよく台湾とおっしゃいますが、それじゃ台湾のどこでこんなものを作っているかというと、誰も答えてくれないんですよ。それで−−−
あなたは、わたしの意見を聞いているんじゃないんですか?
Y田氏は、すぐ落合氏の言葉を遮った。高姿勢を続けた。無知な者に説教する姿勢だ。
結局台湾の、どこの窯なんでしょうね。
落合氏はあくまでも下手に出て、執拗にその一点を突いた。Y田氏は落合氏が弱気だと見て、かさに掛かろうとした。
窯ですか? 窯なんて−−−
といいかけたが言葉につまる。理由は簡単で、そんな窯など台湾はおろか何処にもないからだ。
どこの窯ってねえ、あなた。こんなコピーなら、台湾に行けばどこにでもありますよ。あなたは見た事がないんですか。東南アジアはわたし全部知ってますよ。あの法花の壺などコピーでもっとましなのがいくらでも買えますよ。
産地の話をたくみに品質問題にすり替えた。これが台湾論者の常套パターンである。”産地問題”から逃げたのだ。ここから暴論が始まった。Y田先生の言いたい放題である。
今さら新しい発見があるわけがない。そんな名品があるなら、すでにわれわれの眼に入っている筈なんです。ところが仲間は誰も見たことがない。だからおたくのものはおかしいんです。
うちは図鑑を公刊しているんです。それをご覧になりませんでしたか?
あんなもん −−− 実は書店から取り寄せましたが、パラパラとめくっただけでその場で返品しました。安くない本でしたし、一見してだめだと思ったから、よく見ませんでしたねえ。
見たことがないからおかしいといいながら、おかしいものだから良く見なかったともいう。それこそ”おかしな”理屈である。第一、学者のくせに研究に欠かせない図鑑の僅かな代金を惜しむから、とんでもない誤解をするのだ。
あなた方は蒐集するなら、ちやんとした学者に見せて、いろいろ教えて貰うのが当然ですよ。この世界では高いものを買う時には、学者に必ず相談があるんです −−− それをしないで −−− どこから買ったか知らんが、こんなものをつかんで、たいへんな浪費だと思いますよ。
わたしもかなり書物では勉強してみたんですが、李朝などは戦後になってからは何冊も専門書も出ていないようですし、論文を書いた人も数人もいないんです。だから勉強をしようにも取っ掛かりがなくて −−−
落合氏の謙遜論法はなかなかY田に通じなかった。
李朝の論文なんて −−− 何をあなた言ってるんですか −−− 明日から大阪で東洋陶磁学会が開催されるんです。知っていますか?
いや、存じません。
落合氏はなぜかそう言ってしまった。理由は落合氏にも判らない。
そういう名前の団体があることは知っております。だが、明日からどこで何が開催されるか存じません。
おたくでは誰か、東洋陶磁学会に入っていないんですか?
入っていません。
会員が目の前にいたが、面倒くさいからそう答えた。
東洋陶磁学会にも入らないで −−− おたく、何を考えているんですか。今は情報の時代で、どこに何があるか、みんな判っているんです。この鉄砂の虎なんか安宅さんの、世界的な名品ですよ。法花も重文になっていて、世界に一点しかないんです。そんなことも知らないからこんなコピーをつかむんです。
Y田部長の高説はえんえんと続いた。とくに「東洋陶磁学会に入っていないから、いけない」ということを繰り返した。
李朝なら東洋陶磁美術館の伊藤郁太郎さんや肥塚さん、中国なら根津美術館の西田宏子さん。
こういうちゃんとした学者に教えを乞わないから、駄目だという論旨であった。落合のことを、その名前も知らない田舎ものと決め込んでいる。
落合氏は、ここでようやく本筋の用件を思い出した。
それでY田先生は、読売新聞にはコメントなさいましたか?
○×△ −−− ○×△ −−−
またも同じことの繰り返しである。
ということは、読売にはノー・コメントですか?
というよりも誰が見たっておかしいものだから −−−
Y田部長は、要するに自分は確かにコメントしたとの回答をわざわざ寄せてくれたのだった。
ご高説はまだまだ続いた。嘲弄する口調であった。
明日から東洋陶磁学会で、おたくのものは大きな問題になりますよ。早く手じまいしたらどうですか。
いや、ここまで来たら、皆さんで真贋の論議をして貰いたいんです。
論議だって? 何をあなた −−− そんなことをしたら岸和田市にもたいへん迷惑がかかる。もうこれ位にして、早く手を引いた方がいいですよ。
何だか雲行きがあやしくなってきた。要するにY田氏のこの電話は、落合氏を脅迫する目的もあったのだ。
そこでY田先生。真贋論議になったら、先生が出ていらして、さきほどの台湾コピー説を正式に主張してくれませんか。
えーっ。いや、わたしは出ませんよ。巻き込まれたくないんですよ、こんな話に。
Y田氏は電話をかけてきて、読売新聞の取材に対し台湾贋物説を流したことを、自ら伝えた。またこの電話のなかで、落合氏に展示会の中止を強請したばかりだ。そうしておきながら「巻き込まれたくない」とはよくいうものである。放言したあげくに、巻き込まれたくないというのはこの世界の人達の通癖なのか。
それは何故ですか?
率直にいって、おたくのものは程度が低すぎるんです。
長年美術館にいながら、この人はどんな眼をしているんだろう。だが、ここで追求を止めるわけにもいくまい。
しかしY田先生。先生はむろん自説に自信をおもちでしょう?
それはもう、むろん −−−
それだったら、どうぞ自説を主張して下さい。うちはちっとも恨みませんよ。
いや、おたくのものは、真贋をいうには余りにも問題が大きすぎるのです。
Y田氏の論調がおかしくなってきた。真贋について、問題が大きすぎるとはどういう意味か。余りにも程度が低い台湾製だというのだから、問題は最も単純ではないか?
いや、こうなった以上は、うちは何をおいても真贋をはっきりさせたいもんですね。
そんなことを言わずに −−− 真贋論争したら、ますますおたくは不利になりますよ。
有利不利の問題じゃないんです。うちは文化団体です。真実がほしいんです。
それじゃまあ、気の済むようにしたらいいでしょう。
Y田氏の捨て台詞で終わった。

 


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