●私見


●私の意見

*もちろん、私は真作派です。

○理由

1)読売、朝日放送の主張がおかしい

「論点」の所で書いたように、「公的機関で開催する展示会なのに外部の鑑定機関で鑑定を行わなかった」「展示品は台湾製である」の2点には根拠が無いことは明白です。根拠が無いのに、あれだけの紙面を作り、放送を流したメディアの対応は異常としか思えません。

@外部鑑定機関

もし、通常「外部鑑定機関」で鑑定が行われているのなら、どの外部鑑定機関なのかを明白にすべきです。また、その「外部鑑定機関」で通常行われている鑑定の実例(実際の展示会の名称を含めて)を上げるべきです。
それを行わないで、”「公的機関」が開催する展示会なら「外部の鑑定機関」で鑑定をすべきだ”と主張することは、何も知らない一般人をミスリードする事が目的と言われてもしょうがないでしょう。(実情を知らない人がそれを聞けば、確かにそうだと思います)

A台湾製説

もし、読売新聞が担いだ大伴公馬氏が主張するように展示品が台湾製であるなら、落合氏が提案するように台湾から同じものを持ってきて証明すべきでしょう。もし、それが可能なのであれば論争の必要はなく展示品は台湾製である事が即座に証明できると思います。
台湾説を表立って主張しているのは、大伴氏を含めて専門外の人が多く、いわゆる業界の「権威」とはとても言えないメンバーです。私は、彼らがどんな主張をしても、紙面で取り上げるほどの問題とは思えません。その理由は、彼らが逆に展示品を「真品」と主張したと仮定した場合、どれほどの説得力があるかを考えれば簡単に分かると思います。
もし、紀州側が彼らに鑑定を依頼し、「類まれなる神器」と鑑定結果を得たとしても、外部に対してはほとんど説得力がないでしょう。
唯一、権威と言えるのは三杉隆敏氏ですが、彼の台湾製の論拠も結局は人から聞いた話しかありませんので、結局は台湾説の主張を取り下げてしまいました。


2)そんなに簡単に鑑定は可能か?

読売新聞は、大伴公馬氏や大和文華館の吉田学芸部長などが実物を見ていないでコメントした内容を論拠に紙面を作っています。本当に実物を見ないで鑑定が可能なのでしょうか? 確かに本当にひどいものは図録レベルでも分かるでしょうが、北京大学教授や新屋氏が真作と認めているレベルの真贋判定が本当に可能とは思えません。
更にひどいのが、「ニュースステーション」です。韓国の鄭良謨室長に壺のFAX写真を見せながら、鑑定を依頼しています。そして、その結果を以って朝日放送は、「今日韓国の国立中央博物館も贋作だと断定しました」と放送しています。朝日放送は、FAX程度の低解像度、階調表現、モノクロの画像で鑑定可能だと考えているのでしょうか? 朝日放送、更にはそのコメントを行った久米宏の見識を疑わざるを得ません。
彼らは、TVで「贋作」と言う事のもつ意味の大きさを知らないとしか思えません。
美術品も食品と同じで、疑いのあるものは購入しようと思わなくなりますから、疑惑を持たれただけでも大きなダメージを受けます。逆に言えば、展示品の価値を下げるためには贋作である事を証明する必要はなく、贋作の疑いをかけるだけで十分な訳です。
「ニュースステーション」は、こういった事に関わる事が多いですね。
また、「ニュースステーション」で「国立中央博物館はこの件で近々、専門家を日本に派遣する」と報道したのも、単に鄭良謨室長がたまたま東洋陶磁学会に出席している事を聞いてこじつけた事も明白です。実際には、紀州側の陶磁器を見にも来ていません。
ここにも、「ニュースステーション」がこの件をあたかも大事件であるかのような印象を受けるような構成としています。考えて見れば、FAXを見ただけで贋作と断定できるような物のために国立中央博物館が専門家を派遣して何をしようというのでしょうか?(笑)
「FAXを見ただけでは分からないので日本に専門家を派遣する」というなら話は分かりますが、「FAXを見て贋作と断定した」ものに対して実物を見てどうしようというのでしょうか?

3)紀州徳川家伝来の古陶磁の伝来が明らかになった

ひょんな事から「佐伯祐三真贋事件」に関わることとなった落合氏は、「吉薗手記」と劇的な出会いをします。「吉薗手記」とは、陸軍大将上原勇作の「草」として大正から昭和にかけて裏の世界で活躍し、佐伯祐三のパトロンでもあった吉薗周蔵氏の手記です。
その手記の中には、大正から昭和にかけての日本史の裏舞台が書かれていました。そして、その中に「奉天古陶磁」に関する詳細な記述がありました。それによると大正末期、奉天城にあった清朝の秘宝である古陶磁が軍閥張作霖によって略奪され、現在の価値で750億円の軍資金と引き換えに紀州徳川家に渡った事が書かれています。
現在、紀州文化振興会が所管するそれらの陶磁器は、陶磁図鑑として公開されています。私はその本を見て、その素晴らしさに驚かされました。しかし、これらの所管品は陶磁界からは黙殺されています。それらの詳細は、落合氏の著書を書かれています。
これだけ新資料がオープンにされているのですから、反対派も含めて活発な議論を期待したいと思います。また、これらの古陶磁の伝来に関しては、落合氏が一書を起すとの事ですので、それも期待したいと思います。

●結局

この岸和田市の贋作騒動は、「奉天古陶磁」の存在を認めない陶磁界の”闇の勢力”が読売新聞、朝日放送を使って圧力をかけたというのが真相でしょう。日本の博物館、美術館には数多くの中国古陶磁の名品があります。そして、その伝来は必ずしも明確ではありません。しかし、その伝来のほとんどが「奉天古陶磁」であることが「吉薗手記」、「奉天古陶磁図経」で明らかになっています。
それらの古陶磁の偽造窯が存在し、陶磁器界の大物がそれに関わっていたことも「吉薗手記」で明らかになりました。それらの勢力が、今回の贋作騒動の”闇の勢力”だと思います。今回のように読売新聞や朝日放送を動かす事は大伴氏や吉田学芸部長では無理でしょう。少なくとも李朝の陶磁器であれば伊藤郁太郎氏、中国陶磁器であれば長谷部楽爾氏レベルの大物が動かなければ今回のような騒動は起こりえなかったと考えます。(私は素人なので、私でも知っている著名な人の例として二人の名前を挙げましたが、あくまでも大物の例として出しただけです)
それくらいの大物が紀州の展示品は贋作だと発言したからこそ、読売新聞、朝日放送が安心して動いたと考えます。

 


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