「東洋の官窯陶磁器展」贋作事件 Q&A


「東洋の官窯陶磁器展」贋作事件に関するQ&Aをまとめてみました。

◎質問と回答

Q1:「東洋の官窯陶磁器展」に関しては、読売新聞やニュースステーションで疑惑があると報道されていましたから、それなりの根拠があるのではないでしょうか?

A1:確かに読売新聞やニュースステーションでそういった報道がなされたのは事実ですが、その内容は的外れで大部分は憶測または恣意的に書かれており、事実ではありません。両者の主張している、
@展示会を開催するに際して公的機関で鑑定をしていないのは問題だ。 (必ず公的機関に鑑定させるべきだ)
A展示品は台湾製である。

全く事実とは違います
また、読売新聞や毎日放送でコメントした(自称)専門家達は実物を見ないで展示品の疑義を主張していますが、これは責任のある発言をするための最小限の条件も満たしていないと言うことになります。


Q2:公的機関が展示会を開催した場合、疑義が生じた場合は展示会を中止すべきだというのは正論かと思いますが...。

Q2:
確かに一見正論に見えますがよく考えてみて下さい。もし、「疑義が生じた場合は展示会を中止すべき」が正論であるとするなら、公的機関の展示会は何ら客観的な根拠なしに疑義を唱えるだけで簡単に中止する事が可能となってしまいます。世の中にはいろいろな人達がいます。展示会毎にいろいろと疑義を唱える人達(論争レベルから難癖レベルまで)もいるでしょう。その人達の意見を全てまともに聞いていたら、公的機関の展示会はすべて中止になってしまいます。。


A3:有名な読売新聞や
朝日放送がそんな間違った報道をするとは信じられないのですが...。

Q3:マスコミ報道に関して誤解があるようですが、新聞にしてもTV局にしても利益を追求する企業であり、スポンサーからの広告料によって成り立っています。(NHKは除く ← NHKが常に真実を報道しているという意味ではありません)
そして記事を書いているのはその企業のサラリーマンです。そのため、大学のような研究機関とは違って真実の探求が目的ではありません。
もちろん、その中の大部分の人達は報道に携わるという使命感に燃えている人達ではありますが、中には企業としての利益を優先する人達がいる事も事実です。
また、新聞やTVで報道されたものは間違いないという考えも間違いです。一般の人は自分が報道される機会がほとんどないため気付きませんが、例えば自分の会社や関連する業界などに関する報道があった場合、かなり間違った事も堂々と報道されている事が分かると思います。(しかも間違いがあっても訂正は行わないか、行っても目立たないように行います)
最近では、サッカーの中田英寿選手が、マスコミは真実を報道しないと言って取材を拒否している事は有名です。また、かつてテニス界の悪童として名を馳せたJ ・マッケンローは「記者達は勉強していない。毎回毎回、出身地や過去の戦歴を聞かれる僕達の身にもなってくれ。もちろん、勉強していれば記者なんかではなくて大学教授になっているだろうけどね。」という主旨の発言をしてマスコミからは嫌われていました。



Q4:何故紀州にそんなに素晴らしい陶磁器が伝来していたのですか?

A4:李朝の陶磁器に関しては、朝鮮通信使が徳川家に送ったものを江戸藩邸から紀州徳川家に下されたと考えられます。中国陶磁器は、奉天城に秘匿されていた清朝の秘宝が張作霖によって強奪され、軍資金獲得のため奉天特務機関長貴志彌次郎の斡旋によって紀州徳川家に売却された事が分かっています。(詳細はここを見て下さいい)
これら紀州徳川家に伝わっていた李朝、中国陶磁器が徳川家と親交のあった画家の稲垣伯堂氏を通して紀州文化振興会の所管となりました。

Q5:清朝の秘宝は台湾や北京の故宮博物館保管されているはずでは?

A5:民国2年(大正2年)袁世凱大総統の命により、国務院総理熊希齢から離宮文物の北京送付命令が出されました。それによって各地の離宮の清室文物が民国政府の所管に移され、北京輸送が行われました。これらの文物が北京に、それから台湾に送られたものです。
もちろん、奉天宮殿にある文物もその対象となり、張作霖は蔵帳にあるものを北京に送りましたが蔵帳品以外に厳重に隠されていた古陶磁があったそうです。中国社会には特有の「面子」という問題があり、部屋に飾っておいて客に褒められるとそれを贈呈しなければならないため、貴重な家宝は客に見せないというのが中国社会の富豪、皇帝のテクニックとなりました。愛親覺羅家でも乾隆帝の時代からそれを実行し、一番大事なものは、奉天城の秘庫に隠し、周蔵氏の言う2番目、3番目の品を紫禁城に飾っていたとのことです。(詳細はここを見て下さいい)

Q6:大和文華館の学芸部長や神戸市立博物館の学芸員が台湾製と言っているのですからそれなりの理由があると思うのですが...。

A6:それなりの根拠があればきちんとした論争となるのでしょうが、どうも台湾説には根拠がないようです。貿易陶磁器の大家である三杉隆敏氏も最初は台湾説でしたが、根拠が無いためその説を放棄しました。
大和文華館のY田学芸部長に至っては、

  1. 今さら新しい発見があるわけがない
  2. そんな名品があるなら、すでにわれわれの眼に入っている筈
  3. ところが仲間は誰も見たことがない
  4. だからおたくのものはおかしいんです

という論理によって台湾説を出してします。こういった論理を構築する人との論争は無理でしょう。(笑)

Q7:TVの「なんでも鑑定団」に出せば、鑑定可能なのでは?

A7:あの番組で鑑定可能なのは、世に知られているもの、中島誠之助氏が見たことのあるものだけでしょう。今回の展示品のように、北京や台湾の故宮博物館にも無いような逸品を鑑定は難しいと思います。
また、たとえ非常に素晴らしいものであると分かったとしても、製作年代、製作窯の特定、陶磁史における位置付けなどは短時間での鑑定では無理です。



Q8:大学の教授に鑑定を依頼してはどうなのでしょうか?

A8:中国の北京大学には陶磁研究所がありますが、残念ながら日本の大学では文物の真贋を鑑定する学部、分野は存在しません。以前、陶磁器に関してHPを開いている某大学教授に中国陶磁器の真贋に関して聞いた所、「このような事は、有名な古美術商に聞くのが良いと思います」との回答をもらった事があります。
自分で鑑定できなくて、どうして研究ができるのかとても不思議です。こんな事が、例の考古学の「ゴッド・ハンド事件」の根底にあるのではないかと思います。



Q9:岸和田の展示品に大阪市立東洋陶磁美術館所蔵の重文である「法花花鳥文壷」や李朝の「鉄砂虎鷺文壷」とまったく同じ意匠のものがあるというのは、やはりおかしいのでは?

A9:絵画と違い美術工芸品はある程度量産されていました。分業で生産しますので量産しなければ経済性が満たされないからです。ですから国宝重文だからといってもその意匠が最初に用いられた作品(本歌)とは限りません。
材質的には「法花花鳥文壷」は、東洋陶磁美術館(旧安宅コレクション)のものは半磁半陶胎であり、展示品は磁器質です。「鉄砂虎鷺文壷」も安宅のものは陶胎で展示品は磁器質です。
技術的には、安宅のものは釉下鉄絵であり素肌に絵付けするものであり描画は極めて簡単ですが、展示品は釉の上にさらに鉄釉で描画したもので鉄釉が流下しやすくきちんと描画するのは極めて難しいものです。
このように材質的にも技術的にも全く違うものを外形だけでコピーであると判断することは無知もはなはだしく、鑑定力も乏しいと言わざると得ません。


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