落合氏 |
O伴教授 |
読売新聞らの行為は、刑法233条の信用毀損業務妨害罪に該当する。貴殿がその共犯に当たるか否かを知りたいので電話した。 | |
この一言で、O伴氏はあきらかに脅え、声は小さくなった。 | |
読売は専門家が贋作だと指摘したと言っています。それはどなたかと思っていたんですが、O伴先生でしたか? | |
専門家というより、まあ研究家ですな。 | |
何だか謙虚である。 | |
それならわたしも研究家です。ところでO伴先生は岸和田市に対して、どういうクレームをつけたんですか? | |
おたくの中国もんも李朝も、あまり見たこともないもんや。わしらの経験からすると、もひとつしっくりせん。そやからそんな珍しいものやったら、一度ちゃんとした学者に見てもらったらどうや、と岸和田市にこう申し込んだだけや。 | |
それだけですか? | |
それだけや。そしたら、教育長が頼り無いことばかりいうて、もひとつ態度がしゃきっとせえへん。中国の学者にほんまに鑑定させたんかいうても、何かこう、歯切れが悪い −−− そやけど市側がわしの名前を出すのが条件やというから、そんなら撤回するというて、帰ってきたんや。 | |
それ位のたわいなことで、読売新聞ともあろうものが、あれだけの大きな紙面を作れる筈がない。 | |
しかし、あらためて鑑定するとなると、簡単にはいかんでしょう? | |
そうですな。わしが鑑定するとしたら、最低でも3日かけます。まず手取りから始めて −−−。 | |
読売はO伴先生が、再鑑定を市側に申し入れたというんで、それを口実にしてあの記事にしたんですよ。 | |
わしは読売とは何も関係ない。新聞も自分で買って読んでる位やから −−− 読売はわしのことをどこかで聞いたんでしょうな。 | |
坪井らを帯同して自ら教育長へ押し掛けていながら、すぐばれる嘘を平然という。大した役者だが、それだけ落合たちを軽く見ているようだ。 | |
いや、T井さんに聞いたらO伴先生の名前が出たもんで −−− 。 | |
何や −−− そんならあんたは読売とは連絡ついてんのですか。 | |
O伴教授は今ついたウソがばれても平然としている。やはり役者である。 | |
勿論、毎日電話でやりとりしていますよ −−− とすると、先生は匿名条件が受け入れられないので申し入れを撤回した。それなのに読売は『再鑑定を申し入れた』とウソを書いた。しかし、先生がそういう申し入れをしたということだけが根拠で、読売はあの記事を書いたんですよ。 | |
そんなことなら、読売はおかしい。わしは今から抗議するつもりや。 | |
落合氏は判断に苦しんだ。O伴は読売に利用されただけなのか、それともO伴が読売を抱き込んで始めたことなのか? 落合氏が考えている時、O伴氏が話題を変えた。 | |
ときに、ここだけの話やが、ものはええんですか? | |
これには落合氏も少なからず驚いた。台湾説流布罪の有力容疑者が、みずからこんなことを言い出すとは。 | |
勿論ですよ。その来歴は『乾隆帝の秘宝』という小冊子に書いてありますが −−− | |
それも読ましてもろうたけれど −−− それであんた、誰から買いなはった。 | |
それは −−− 元々あったお家から −−− 直接もあるし間接に回ってきたものもある。転々しましたからね。会員から預かってあるものも多い −−− その間の事情は、この電話ではいえません。 | |
いつごろですか? | |
もう、20年になりますねえ。 | |
まだ、今でも持ってはるやろか? | |
それはもう無いでしょう。14年前、光悦の茶碗が出た時が最後だったようです。 | |
わしも会いたかったなあ。 | |
語るに落ちた感があった。 |
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