大阪府岸和田市制施行70周年記念

「東洋の官窯陶磁器展」贋作騒動の概要


参考文献:落合莞爾氏著

「ドキュメント 真贋


贋作派真作派で色分けしてあります。

1.概要

平成4年10月、「だんじり祭り」で有名な大阪府の岸和田市が市制施行70年を記念して紀州に伝来する古陶磁の展示会を開催しました。展示した古陶磁は、紀州文化振興会が所管する紀州徳川家に伝来した李朝と中国のもので、いずれも公開品では見られない作品であり、もし本物であれば「世界的な発見」といえるほどの名品揃いでした。
紀州文化振興会は、落合莞爾氏が代表となっている任意団体で、会が所管する紀州徳川家に伝来する東洋の古陶磁の研究を行っており岸和田市に住む古陶磁研究家の新屋隆夫氏が会からの委託を受けて、その鑑定と研究を行っていました。会では、それまでの研究成果をまとめて「紀州文化振興会所管陶磁図鑑」第1巻〜4巻まで出版していました。
新屋隆夫氏は、在野の古美術研究家で古陶磁研究に関しては奥田誠一門下であり、地元を中心に数え切れないほどの文化講演を行っていました。NHKの「国宝を訪ねて」の解説として出演したこともあり、「堺陶芸文化史」は戦後の陶芸史関係の専門書では指折りのものと言われています。
展示品に関しては、その新屋隆夫氏と北京大学の考古学教授である楊根氏が鑑定を行っていたにも関わらず、読売新聞大阪本社編集局社会部(戸田記者、岸和田在住小坂記者、大阪社会部主任坪井恒彦、堺支局長梅山賢一)が、古美術に関して専門ではない帝塚山学園短期大学の心理学教授大伴公馬を担ぎ展示品に対する疑惑を記事にして展示会の中止を目論見ました。
また、朝日放送は出光興産などがスポンサーである「ニュース・ステーション」で久米宏吉田健司が展示会の展示品が贋作であるとの考えられない報道を行い”公共団体のやる展示なのに公的権威に鑑定を依頼しなかったのは不当”であると主張しました。(朝日放送デスク牟田口)→ 実際には新屋隆夫氏、楊根教授が鑑定を行っている。
その他にも大和文華館の吉田宏志学芸部長や神戸市立博物館の岡泰正学芸員らは展示品が台湾製であるとの主張を行いました。
(堺市立埋蔵文化財センターの森村学芸員のように一部を除いて一定の評価を出した学芸員もいました)
紀州文化振興会の落合氏は、贋作説に対して対抗しようと考えていましたが、貿易陶磁器研究の大家である三杉隆敏も展示品が台湾製であると主張し、落合氏に手打ちをするように説得してきました。(最終的には台湾説の根拠がなく三杉隆敏は仲裁を降りた)
落合氏は、岸和田市に働きかけて贋作派と徹底的に討論するように主張しましたが、最終的に岸和田市は公開討論を中止してしまい、疑惑が残ったままの状態で現在に至っています。

「東洋の官窯陶磁器展」贋作騒動の関係図 (135KB:876×613)


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